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残像に口紅を

漫画: 寺田浩晃 原作: 筒井康隆

一つの言葉が失われた時、その言葉がいかに大切なものだったかが初めてわかる

ある日突然、物語の主人公として虚構の世界を生きることになった小説家・佐治勝夫。
佐治が生きることになった物語の世界でのルールは、「一つずつ文字が消えていく」こと。
文字が消えれば、その文字を使った言葉が消える。言葉が消えれば、世界からその存在そのものが消えるという。
「ぱ」が消えれば「パン」が。「ゆ」が消えれば長女の「弓子」が消えた。
ひとつ、またひとつと世界から存在が失われゆく中、徐々に現実と虚構が複雑に絡み合い、溶け合っていく。
原作50万部。巨匠・筒井康隆による実験的名著。

定価:
1,320円(本体1,200円+税)
発売日:
2025-01-28
判型:
A5判
ISBN:
9784046064875

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STORY

あらすじ

  1. 自分が創作の中の登場人物だということに気づいてしまった

    神戸在住の小説家・佐治勝夫は、友人である評論家・津田得治とともにある事実に気づいた。
    それは、自分たちが誰かの書いた物語の中を生きる「虚構内存在」であるということ。
    彼らが生きる世界では「文字がひとつずつ消えていく」のがルール。
    文字が消えたらその文字を使って表すものそのものがその世界から消えてしまう。
    早速「あ」が消えてなくなったものとは…?

  2. 虚構だからこそ、好ましいもののみ残すというわけにはいかんのだろうな

    文字が消え、身の回りのものが少しずつ消えていき、さらには家族までもが一人、また一人と消えていく。
    そんな中、仕事で上京した佐治。小説家仲間との座談会で、同じ小説家の堀朋巳が自分たちも虚構内の存在であることに気づいてしまう。演じきるしかない状況に、編集者の根本は「私たちはただの傀儡と変わりないのでは」と問う。他方の堀は「消えたものはどこへ行く?」と佐治に投げかける。

  3. おれらがおれらの物語として終わる鍵(キィ)を探してくれないか?

    物語の展開のためにさまざまな「山場」を経験させられた佐治。
    しかしこの物語の進行に「作者の自我が感じられない」と不審がった津田は、裏で真相究明に奔走していた!
    真実を知った佐治に、津田は「佐治自身が展開しなきゃならん物語」がまだ残っていると告げる。
    佐治は果たしてどうやってこの虚構に終止符を打つのか。虚構と虚構がさらに入り乱れていくーー。

ABOUT THE ORIGINAL BOOK

原作について

残像に口紅をの書影

残像に口紅を

筒井康隆の1989年発表の小説。言葉遊びによる実験的な要素を強く含む作品。単行本版は後半が袋とじになっており、「ここまで読んで面白くなかったという方はこの本を送り返してください。代金を返します」と但し書きがついていた。2022年、袋とじも再現した復刻版が刊行された。文庫版では、本編で使用される言葉の出現頻度を研究した論文も掲載。既に消えてしまっているはずの音を誤って用いている箇所についても紹介されている。近年もたびたび注目を集める、50万部のベストセラー。

筒井康隆

1934年、大阪府生まれ。同志社大学文学部で美学を専攻。1960年、作家デビュー。『虚人たち』で泉鏡花文学賞、『朝のガスパール』で日本SF大賞、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、『ヨッパ谷への降下』で川端康成文学賞、『わたしのグランパ』で読売文学賞など、受賞歴多数。『時をかける少女』『パプリカ』など膨大な著作を持つ。

PRAISES

おすすめの声ぞくぞく!

※ ABC順

  • けんご さん
    | 小説紹介クリエイター

    唯一無二の読書体験をくれた傑作が、漫画という新たな形で、より多くの人に届くことを願っています。

  • 佐久間宣行 さん
    | テレビプロデューサー

    原作を読んだ時の興奮と、あまりの面白さに感じてしまった絶望。
    その心の奥にしまっていた感情を、しっかり思い出させてくれた素晴らしいコミカライズだ。